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五段神楽の白山中居神社春季例大祭

新緑が眩しい、石徹白の春。
いつ来ても懐かしい場所。
今年に入って初めての白山中居神社へ。
今日(5月21日)は、春季例大祭五段神楽がありました。
秋季例大祭のゲド投げ神事は見ることができましたが、春の例祭には来たことがなく、この風変わりな名称の神楽を見るのは初めて。
五段神楽を知ったのもコロナがはじまったあとのタイミングだったので、それ以来、中止や縮小と大きく揺れて、完全な形での開催という4年ぶりの復活に立ち会うことができました。

 
とにかく、神楽という言葉はとても気になります。
写真で拝見すると見た目は二人の巫女舞で、演奏も優雅な雅楽なのかと。

 
ところが、巫女の五色の鮮やかな装束に、神楽鈴の振り鳴らす響きと、それに連動した笛の音、太鼓(たいこ)の変拍子と、16ビートを連打する大鼓(おおつづみ)がいきなり変性意識へと誘う。
胸がドキドキとして、高揚感というか。
神懸かった場の創出。
これは間違いなく、神楽だ。
 
※動画はTwitterでご覧ください

 

今まで見た神楽もそう多くはないが、神楽といえば何某かの面をつけて、金属系の鳴り物と激しいビートの太鼓で神懸かった舞いとなったり、長時間の変性意識へと誘うようなイメージだったり、面をつけず頭に冠り物をして化粧をした稚児舞もある。
五段という五種の舞のはじめに、鳶の舞。
つづいて二人舞、扇の舞、鈴の舞、幣の舞が、同じような神楽の演奏で立て続けに舞われ、手に持つ神楽鈴が扇や御幣となったり一人舞や二人舞と、それぞれの所作が異なる感じだった。

 

きくところによると、この五段神楽は天武天皇の即位を称えた五行の舞が、石徹白と石見や出雲などで舞われたのがはじまりという。
また、五段神楽は能にもあるし。
その辺は詳しくはわからないが、とにかく石徹白の五段神楽の特徴は、鳶の舞があること。
神武天皇の建国時の瑞兆の鳥、鵄(とび)に関わるこの舞いは、建国と天下太平を祈る舞いとして最もふさわしいとされる。
ようやく見れた五段神楽。

 
そのあと、境内に安置されたいた神輿がカミさまを乗せて渡御する。
このとき、最初に禰宜の風変わりな所作があった。
神輿の前で一通りの神事をし、鏡のついた見たこともない大幣を振りながら、国家安康や五穀豊穣などを唱えて前後に動く。
 
※動画はTwitterでご覧ください

 

やはり見たことがない所作。
ただただ、このような神事が千年もつづくことに感謝しかない。
以前は御旅所まで駆け下りて戻ってきたそうですが、この神輿は相当な重さ。
最近では境内の中を一周して終わるとのこと。
 
※動画はTwitterでご覧ください

 

 

こうして、石徹白では長い冬から新しい春を迎え、神武天皇天武天皇のように新しい時代の国家安寧を祈る大切な神事として、ただの見物客ですが立ち会えることができてよかった。
帰り道、道路を横断する白っぽい蛇に遭遇。
久しぶりに石徹白のカミさまを見た。
お見送りありがとうございます。
また来なさいということですね。