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大高の猩々@氷上姉子神社例祭

古代の伊勢湾の年魚市潟(あゆちがた)で、熱田の岬から松巨嶋を経由し、船で往き来していた火上山。
山頂の元宮は、氷上姉子(ひかみあねご)こと宮簀姫(みやすひめ)の館跡。
火高(ほだか)火上(ひかみ)が、後の世に大高氷上となる。


10月1日は、大高の猩々氷上姉子神社の例祭でした。
いよいよ秋祭りの猩々シーズンが到来。
ついに、あの憧れの猩々を、本場の祭り空間でご対面し、あのドキドキ感を初体験することができました。
話せば長い猩々との出会い。
岐阜の山車からくりや、能の演目ではお馴染みの。
それが年魚市潟の熱田や笠寺や鳴海の方に来ると看板があったり噂にきく、ゆるキャラ並みの親近感なのにおそがい(尾張弁で恐ろしい)興味津々な出で立ち。
いったいどんなんかはいろいろ調べたりもしたし、昨年はあいちトリエンナーレの一環で猩々コレクティブに参加したりと、じわじわと実際のリアル猩々に近づいてきたのと同時に、コロナで3年連続中止の狭間にいたのが、今年は「時は来た 大高祭り 復活の儀」ときけば、なんとしても行くしかない。

午前中は各町内から花車を曳いて、辻の秋葉社に大集合した後、午後から次々と宮入り。
その間、笛に太鼓の祭り囃子の神楽が鳴り響き、大高の町全体のエネルギーを高めながら練り歩く。
猩々の赤も、魔除けだし。
叩いたり追いかけるのも、魔を祓う大切な役目。
そこを、各町内のカミさまを載せて、大集結しているのだ。
この祭りで巡行する山車の花車は、町内により1つか2つ、しかも2種類あるようで、ホコとかダシと呼んでましたが、正式には傘鉾車松車というそうです。
傘鉾車は文字通り、和傘にぐるっと垂れ幕が巻かれてました。
松車は文字通り、松が立ってます。
どう見ても、祇園山鉾巡行からきてるのでしょう。
鉾が傘鉾で、山が松車。
しかし、祇園牛頭天王の祭り。
なぜに熱田でこのような祭り形態をとってるのか。
この地ならではの大人形の猩々が、個性的で豊かな文化の多様性を物語る、土着の祭りと掛け合わさった陸の東海道と海からのミックスカルチャーなのでしょう。


わたしはてっきり、猩々がメインの祭りと思ってましたが、その実は脇役的なサルタヒコや天狗のような役割をしてる感じでした。
先を割った竹の棒で子供の尻を叩くとその年は病気しないとか、全速力で追っかけるのも、邪気を追い祓い、魔除けや厄祓いとなってる。
この叩く棒をバレンと呼んでいた。
子供たちは屋台で買うのか、みんな厚紙製のハリセンを持って奇襲攻撃。
猩々にケンカを売り、いやちょっかいを出し、叩かれたり追いかけてもらうのだ。


本殿前の境内を、ずらりと並ぶ。
猩々が祓って、花車が回るのも意味があり、賑やかな境内の裏で、本殿では粛々と神事が執り行われる。
そして一番先頭で入った新町が鳥居を出たので、これで終わりかと思いきや、残った町内は静止したまま後続せず、長い間静かに何かを待つのでした。
しばらくすると、また新町の花車が戻ってきた。
一緒に着いていけばよかったけど、様子からすると元宮まで行ってぐるっと回ってきたようだ。
こうして祭りは無事に終わり、神幸として土地のカミさまと渡行し、またそれぞれの町内へ帰っていきました。
またそこで、それぞれおおいに盛り上がったことでしょうね。
それにしてもいい祭りだ。
さて、次は笠寺の猩々がわたしを呼んでるような気がしてきた。

 
大高の猩々@氷上姉子神社例祭
2023年10月1日(日)

例祭 十月第一日曜日 十四時
古くは神輿が元宮まで神幸したり、氏子中より馬塔を奉ったといわれています。現在は各字(あざ)より花車をひき出し、大高町全域を練り歩いて境内に集合し、祭典に参加します大高町は終日祭り一色で賑わいます。
~氷上姉子神社の栞より~