月音(つきのね)∞風音(カヂヌウトゥ)

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松巨嶋の海に堕ちた隕石と星信仰と七の聖数と赤い猩々

星宮社の祭神は、大和朝廷に最後まで抵抗した天香々背男こと天津甕星神。
それなのに、同じ関東で朝廷に反旗を翻した平将門の乱で、天皇の命で将門鎮圧のため熱田神宮の七柱(熱田大宮、八剣宮、日割宮、高倉宮、大福田宮、氷上宮、源田夫宮)を神輿に乗せ、星宮社で調伏(ちょうぶく)祈祷したという記録が残っている。
調伏とは、仏教用語の調和制伏の略で敵を教化して服従させる意味があり、時代が時代なのでもし従わなければ呪文によって呪い殺すということもあったでしょう。

その同じ伝説が、笠寺の七所神社にも残っている。
熱田七柱を神輿に乗せるところまでは同じで、調伏祈祷した場所が鳥居山山頂(現在の丹八山)であり、山頂に祀った熱田七柱を遷座した場所が七所神社と云われる。

 

星宮社と七所神社の位置関係は、ぴったり南北のライン上に並んでる。
それだけではない。
すべて七という聖数でくくられている。
星宮社の神紋は、七曜紋。
これは星神であるから、北斗七星と見ることもできる。
星宮社の社家が将門鎮圧で調伏祈祷すると七星が輝いたので、この地を星崎と呼ぶようになったという地名由来もあるくらい。
また、星宮社の御手洗池は、将門を調伏祈願する間、眉や目が分からないほど血に染まった者がその顔を洗ったことから七面池とも呼ばれたのだ。
星宮社は、史実として南野隕石が落ちた場所で、それゆえ星神を祀っているのが通説。
入江に明星が降って振動し、海上が鳴り響いたから、鳴海の地名となり、その星が堕ちた海岸を星崎と呼んだ。
しかし、七の数字が妙見信仰を物語ってる。

七星
七曜紋
七面池
熱田七柱
七所神社

熱田の南、笠寺の見晴台遺跡は2万年前の旧石器時代から室町時代までの連続した複合遺跡であり、弥生から古墳前期に最も栄えた環濠集落跡でもある。
熱田台地、八事台地、鳴海台地。
そのあいだの谷間を流れる、山崎川、天白川
その真ん中で取り囲まれるようにしてある笠寺台地は、かつて松巨嶋(まつこじま)という年魚市潟(あゆちがた)に浮かぶ島だった。
古くからの聖地であり、それゆえ複雑な歴史が入り混じりながら今日まで守られてきた歴史ある土地。
深い、深すぎる。
一筋縄ではいかない謎に満ちた奥深さが、この土地の魅力となっている。

 

そこにまた中国南部の伝説の猩々が伝わり、今でも七所神社で1000年も昔に熱田から鳥居山へ神輿渡御した名残で、七所神社の例祭では故地である鳥居山まで熱田七柱を乗せて神輿渡御する。
そのとき一緒に、あの猩々が練り歩くのだ。
その赤色には、血で染まる七面池の伝説や、将門の呪いの血を想起させると同時に、縄文の昔から魔除けのための色。
猩の漢字は、訓読みで“あかい”とも読む。
猩々とは、海に棲む妖精で人の言葉を話す酒好きで赤い顔の獣とされ、実際には古代中国領だったベトナムのオランウータンのことだとされている。
日本に伝わり、能の演目となったり、山車のからくりにもある。
しかしだ。
よく文字を見てほしい。
獣偏に星だよ。
またここにも、星が出てくる。
もういい加減にしてくれ、ワクワクしちゃうじゃないか。
いろんな点がつながって、歴史物語が見えてきそうだ。
星崎に堕ちた隕石と、星神の星宮社と、将門鎮圧の熱田七柱の七所神社が、七の聖数と星ですべてつながってる。
これは何かあるなと思わざるを得ない。
能やからくりにあると書いたけど、竹籠に和紙の張りぼてを着ぐるみにして被る巨大な猩々は日本広しといえどこの尾張だけ。
しかもエリアが限られた、松巨嶋と年魚市潟を取り囲むような一帯。
なぜなんだ。

猩々の発生時期も、江戸時代。
寛永9年(1632)に堕ちた南野隕石が、呼続神社のご神体になってて、星崎の地名由来になってる。
そうだ、このエリアこそ隕石の衝撃が伝わった範囲じゃないか。
猩々は隕石に乗って、この地に飛来したのかもしれない。
そして、その赤色も、バリンで叩くのも、魔を祓う所作。
もちろん、本当のことはわからないけど。
将門を呪い殺した場所でその御首を祀り、その御魂を慰め、癒すために祭りをやってるとも思えてくる。
もちろん、祭りとはどこも表向き明るくワイワイ陽のエネルギーに満ちていてそんなの関係ないと思うかもしれないが、江戸時代にはじまるあの賑やかな花火も疫病や飢饉を癒すための慰霊だし、死と生は密接であり、同義なので、祟りを恐れての慰霊だけでなく、新たに生まれ直すための鎮魂儀礼やタマシズメの祭りは多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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