たて穴住居は、竪穴住居と書く。
けして、縦穴ではないのだ。
なぜか?
ずっと疑問ではあった。
竪樋とか、建築用語ではすべからく竪の方向を示す言葉が使用されている。
竪琴も縦じゃない。
あれは琴が立っているからでなく、弦が垂直方向だから。
つまり、水平な大地を基準とする、垂直方向が竪 。
縦とは、つま先から頭の天辺に向かう自分軸に対して、大ざっぱな方向だから、平面の紙の上でも縦横となる。
もう一つ、経という字もタテと読む。
経糸と緯糸だ。
こちらは、経度と緯度のように、天体に使用されている。
宇宙には上下左右が無いが、北極と南極の地軸に対してのタテヨコ。
その地軸に対して水平方向となる緯度0度が赤道。
それを延長した天の極から、天の赤道に対して赤緯がある。
つまり、天の中心、北極星を基準としている。
七夕と棚機(タナバタ)で織物が天体と結びつくように、機織りは経糸と緯糸で天のエネルギーを紡いでいるのだ。
竪と経は、大地と北極星みたいなまとめをしたけど。
竪琴といえば、ビルマの竪琴を思い出しちゃう。
楽器の構造を建築に見立てての竪(タテ)は、演奏するときに弦がヨコ向いちゃってても、響板に対して垂直に弦を張るから、竪琴。
アイリッシュハープも。
キンダーハープとか、リラとか、ライアーと呼ばれる楽器も。
大地のエネルギーを奏でる楽器なんだと思う。