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コロナ後の世界と次世代原子炉SMRの行方

核分裂炉で水を沸騰させて発電するだけの巨大化して老朽化した原発は、夢のエネルギーとしての開発が進まない核融合炉に取って代わられることなく寿命を超えて延命している。
そこに出てきたのが、次世代原子炉と呼ばれる小型モジュール炉(SMR)だ。
小型モジュール型原子炉(Small Modular Reactor)の略。

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これがいったいなんなのか、わかりづらい上に、まったく知らされることなく開発だけが進み、すでに実用化が目前に迫っているのだ。
公表される部分はメリットのみ、安全で低コストで画期的なことばかり。
水の代わりにヘリウムガスあるいは液体金属などを用いて冷却される独特の原子炉。
都市のすぐそばに建設できるほど安全で、非常に効率的であるため、ほぼ無限のクリーンな電力を社会に供給することが可能。
原子炉のサイズは非常にコンパクト。
炭素排出量を抑えながら、効率的かつ安定して電力を供給できる。
典型的なメルトダウンは理論上起きない。
工業団地の中や軍事基地の内部といった、既存の原子力発電所を設置できなかった場所に建設を提案。
とにかくコンパクトで安価な原子炉、といった具合だ。

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ニュースケール社(NuScale Power)の次世代原子炉は、2026年に米アイダホ州のアトミックシティの送電網に接続される予定。
また、ビル・ゲイツは人口削減のワクチン普及だけでなく、次世代原子炉の開発に積極的に取り組んできた。
ゲイツが立ち上げたテラパワー社(TerraPower)は、2022年に中国で実証炉を完成予定。
GE日立ニュークリアエナジー社(日立とGEが共同開発)の小型原発は、2030年代に実用化を目指している。

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世界で原発が後退したのは、2011年の日本で原発事故があったからですが、事故がなくても耐用年数を過ぎて老朽化した原発からの撤退は自然と進んでいったはずだ。
しかしすでに次世代原子炉の研究は進んでいたので、一度原発離れが主流となった世界で次世代原子炉は受け入れ難いのではないかという焦りと迷いが生じたのではないか。
そこで、日本はアメリカの思惑通り再稼働の道を選び、共同開発しながら虎視眈々とオリンピック後の未来を描いていたはずだ。
しかし、新型コロナウイルスパンデミックでオリンピックは頓挫し、ますますグローバルからローカルへの志向が高まって、人間のエゴがまかり通らなくなった世界が、この汚れたエネルギーを受け入れるだろうか。

 

参考リンク:

TerraPower
http://terrapower.com/
安全かつクリーンな電力を提供する次世代原子炉とはどういったものになるのか?(GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20200413-new-nuclear-reactor-designs/