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物の怪と修験と狼信仰の現代アート作品

 
映画「破壊の日を観てきました。
週に1本のペースで、ミニシアターが再開してから追いかけるように観てるな。

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前回「プラネティストで初めて豊田監督作品と出会い、その撮り方やこだわりや感性に惚れ込み、今年の1月のコロナ発生のタイミングで急遽企画し、オリンピックの7月24日に公開を決めてスタートした、そのタイトルそが破壊の日という、それだけの情報で、絶対観ておこうと楽しみにしていた作品です。

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それ以外の情報はまったくなく、内容は想像もつかないまま。
前作が大好きな小笠原で4年かけての撮影に対し、今回は東京が舞台で半年で脚本撮影編集の荒業から生まれる時代のスピード感が、やはり映画の全面から伝わってきた。
監督は映像だけでなく、音楽も大事な要素ってのも伝わってくる。

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細かいところ抜きにして、またまた大好きな世界観に誘われていった。
内容を知らなかったとはいえ、今の自分が一番はまっている修験の世界に溢れていたのだ。
そして、これまた大好きな狼信仰が残る武蔵や秩父辺りの田舎がメイン舞台だった。

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テーマは疫病退散。
コロナしかり、しかしまた現代の分断する不寛容な社会そのものが病んでいる。
それを作品にしようとするあたり、映画監督というよりミュージシャン的であり現代アート作家でもあると思う。
閉鎖された炭鉱の洞窟とか。
即身仏とか。
いつの時代ってなりそうな怪しさも、そういうものが残ってる地方では違和感なく、マタタビと虫こぶを漬け込んだ薬酒のビンが並ぶ土産屋とか、町のバイク屋とか、昭和がまるまる残ってる。

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だけど病んでるこの世の中。
やっぱり物の怪の気配がする。
映画としては時間も短く、完成度も低いとなるかもしれないが、個人的には楽しめたし、やはり映画というより作品レベル的にも現代アート作品として仕上がってると思うな。